リュートフォルテ
<21世紀のリュート>
リュートは、18世紀半ば以降のヨーロッパ音楽の発展から取り残されてしまいました。バイオリンやピアノとは対照的に次第に使われなくなり、19世紀初めには消滅したのです。
今日リュートは、歴史的情報に基づいた演奏(HIP)の範囲内で慎ましやかな位置を取り戻しています。しかしこの状況はリュートが文化史に残した地位、あるいはそれが楽器として発展する潜在能力に見合ったものとは言えません。
リュートの歴史は驚くべき革新に満ちていますが、それは古典派時代初期に停滞しました。この革新の歴史は今こそ再開して継続させる価値があります。しかし控え目な音量、演奏の難しさ、限られた音質の豊かさ、時代遅れの表記法など、この楽器を衰退させ、今日の音楽界における正当評価を妨げている理由をまず考察しなくてはなりません。
ギターはオーケストラでリュートの空席を埋めることができず、またその不朽の音楽的遺産を取り込むこともできません。それ故これまでに存在した可能性の限界を超えて新しい音楽の地平を切り開く、歴史的リュートの音とクラッシックギターの音の最良の特徴を兼ね備えた撥弦楽器が必要とされるのです。
数年間にわたる研究の末に、リュート奏者アンドレ・ブルゲッテ、リュート製作者ギュンテル・マルク、および工学者ベノ・シュトロイは、この理想に適う現代的なリュートを開発しました。新しいリュートとも称されるこのリュートフォルテは、古いリュートの清澄さとギターの暖かみを力強い卓越した楽器に一体化させています。この楽器はあらゆる音楽スタイルの真価を十分に発揮させ、そしてルネサンスまたはバロック期の音楽だけでなく、19世紀および20世紀のギターレパートリーの全てが演奏できるのです。
この高度に発達した楽器は歴史的なリュートと違い、モダンギター奏者でも支障なく演奏できます。弦の張力は中程度で爪または指先のどちらでも演奏でき、リラックスした自然な演奏姿勢が可能です。
室内重奏楽において、そして歌の伴奏楽器として、新しいリュートは歴史的なリュートだけでなく、クラッシックギターをもはるかに凌ぐ説得力を持っています。デザインに込められた革新的アイディアによって、その構造には著しい改良が施されました。とりわけリュートフォルテは大規模ホールで非常によく響き、極めて強力に共鳴します。これらの特徴をもたらしたのは、木材組み合わせの極意です。これはリュートおよびギター製作全盛期に用いられ、ベノ・シュトロイによって再発見されました。
音楽史的観点から見れば、古いリュートから新しいリュートへの新たな一歩は、19世紀黎明期におけるバイオリン改良に匹敵するとも言えましょう。これらの改良がバイオリンの演奏技法の発展にとって画期的な出来事であったように、リュートにも今や魅惑的な音楽表現の新時代が開かれたのです。